Googleアラートで収集した話.Googleはキーワードを登録しておくと,そのワードに該当するニュースが出た時に自動で知らせてくれる機能があります.増渕はこういう本を書いたりしているので,レオロジー関連の面白そうな話を収集するために,粘度とか弾性率とかそれっぽい言葉をいくつか登録しています.
すると数日前に,キーワード「緩和時間」でこういう記事が引っかかりました.プロトンNMRで肉の中の水分子の緩和時間を調べると霜降り状態がわかるという産総研の研究です.なんでも水の緩和時間は筋肉では短く脂肪では長いんだそうな.ちと残念なことにNMRなので,緩和時間といっても相当短い,数ナノ秒での運動です.
肉の力学応答を見ているわけではないので,触感を直に見るものではありません.けれども,この記事の良い所は「共鳴させ、共鳴前の状態に戻るまでの時間(緩和時間)を計る」と,緩和時間の定義をちゃんと書いているところ.これはレオロジーでいうところの粘弾性緩和と本質的に同じです.違いは刺激の手段と測定時間域だけで,原理は全く同じです.
化学のバックグラウンドを持つ人にレオロジーを理解してもらうにはNMRとの対比は良いアナロジーになりますので,この肉の話も引き出しに収めておくことにします.