Primitive chain network simulations for elongational viscosity of bidisperse polystyrene melts

表題の論文が出版となりました.

Primitive chain network simulations for elongational viscosity of bidisperse polystyrene melts
Keiko Takeda, Sathish K Sukumaran, Masataka Sugimoto, Kiyohito Koyama and Yuichi Masubuchi
Advanced Modeling and Simulation in Engineering Sciences 2015, 2:11 doi:10.1186/s40323-015-0035-7

Openアクセスのジャーナルなのでここから誰でもご覧いただけます.京大在籍時から取り組んでいた内容なので京大と名大の2重所属になってはいますが,名大NCCの所属が入った論文で出版になった最初の論文になりました.

内容は「今更かよ」と言われそうな,ひずみ硬化性に関するモノです.山形大学の小山研に在職していた15年も前,伸長粘度という非線形レオロジーが分子量分布に影響されることが実験的に示されました.ごくわずかの超高分子量成分を添加すると,伸長粘度のひずみ硬化性が上がるのです.これによりブロー成形能やフィルム形成能,さらに発泡成形における独立気泡の成形能がよくなるので,プラスチック成形加工において重要なのです.しかし,どうして超高分子量成分があるとひずみ硬化するのか,わかっていませんでした.

本研究では増渕のNAPLESシミュレーションを適用してその現象を解析しました.NAPLES自体も開発は15年前からやっているので,なんでもっと早くできなかったの?何をサボっていたの?という話.これはいろいろ事情があり.一言で言えば伸長流動に対応させるのが難しかったからです.伸長粘度をまともに計算できるようになったのはここ3年のこと.さらに,伸長粘度に関しては,単分散の試料における実験結果でさえも確立されたのがつい最近のことなので,まずはそのデータを再現することに集中していたのです.現在のバージョンは完全対応できている,と思います.

さて,肝心のひずみ硬化性の発現メカニズムです.超高分子量成分の配向が重要です.これまでは伸長が重要と思われていました.確かに伸長もしていますが,それは単分散の場合と変わりません.単分散の場合,からみあいの効果によって,まず配向が進展し,伸長は遅れて出てきます.一方,分子量分布があると,配向と伸長が同時に進展することがあります.このときにひずみ硬化が強く出るのです.

自分は結構満足したんですが,わかりづらいですね...わかりやすい研究の方がいいですよね...

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