九大 田中敬二先生 

(物工とは直接は関係ありませんが)6月19日に応化の招聘による田中敬二先生(九大)の集中講義とセミナーが行われました.この方は間違いなく高分子研究者のエースのお一人です.高分子材料の表面・界面にかかる実験,特にダイナミクスの計測においては国際的にもトップです.基礎的に重要なお仕事をされているだけでなく,応用面でも様々な可能性を見せておられます.

今回のお話で印象に残ったのは,界面ではバルクとは粗視化の枠組みが異なる可能性がある,と田中先生が言われていた(と増渕は聴いた)ことです.粗視化というのは系の自由度を統計力学的に平滑化して,遅い自由度だけを議論する方法論です.このとき遅い自由度の分布関数(平衡構造を決める)と,易動度テンソル(ダイナミクスを決める)が問題になります.これら2つの要素をどう決めるかはバルクでも簡単ではありませんが,界面だと,界面からの距離に応じて分布関数も易動度も異なる,その効果を入れる必要があります...増渕はそういうアプローチ(枠組みを変えるところまでは行かない)でいいのかと思っていましたが,それだけでは違う,と田中先生はお考えのようです.ダイナミクスが非常に遅く非平衡性が高いことが問題なのか?なにが問題か,はっきり理解できていませんので,もうちょっと教えて頂く機会を作りたい.

田中先生は,イケメンで人柄も温厚かつ快活.プレゼンもすばらしい.以前から素晴らしかったですが,さらに磨きがかかったようです.増渕はたまたま,前日18日に東京でこのような研究会があったので,田中先生の長めのご講演を2日連続で拝聴しました.タイトルはほぼ同じでしたが中身がほとんど違っていました.同じタイトルで内容が違う話を1時間x2回(もちろんクオリティを落とさず)できる人はあまりいないように思います.褒めすぎるのもどうかと思いますが,悪いところが見当たらない.

夜は応化の関先生や高野先生等と夕食会が行われ,増渕も出席させていただきました.夕食会の後,間髪入れずにご挨拶メールをいただきました.こういうあたりがデキる男ですね.同世代ではありますが,ご指導いただきたい先生方のお一人です.

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