緩和時間の温度依存性

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化生の松下先生,高野先生と高分子物理化学という講義を担当しています.その講義で寄せられた質問に適宜答えようと思います.

1月8日の第2回講義では粘弾性と粘弾性解析の話をしました.その中で標記の質問が寄せられました.よい質問です.講義では温度依存性には全く触れませんでした.

粘弾性とは緩和現象の一種です.緩和現象とは,非平衡状態に励起された系が平衡状態に戻っていく,動的な過程(ダイナミクス)のことです.その過程は最も簡単には一次の反応式で書けます.励起された状態をB,平衡状態をAとして,B→Aと書きます.このときの反応速度定数をkとすると,その逆数が緩和時間τとなります.

反応速度論をやっている人たちは,反応速度定数kの温度依存性について学んでいるでしょう.現象論的には,アレニウスの式で書けます.緩和時間τはkの逆数ですから,アレニウスの式を書いてみると$\tau=\tau_0 \exp(E_a/RT)$となります.ここで$E_a$は活性化エネルギーで,$\tau_0$は$T$が無限大の極限での緩和時間です.

アレニウスの式から緩和時間の温度依存性を見るとわかるように,温度が高いほど緩和時間は短くなります.粘弾性体の例としてヘアワックスを考えますと,温度が高いほど緩和時間が短い→ホールド性が弱い,ということです.逆に冬場で温度が低いと緩和時間が長く,ガチガチになってしまいます.

緩和時間の温度依存性は,温度時間換算則という重要な経験則に関係しています.(日本語のwikipediaには項目が無いようです.)

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