予稿や卒論等を書くとき

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日本語の文章を書くときの内容なので日本語のエントリーです. 増渕の個人的な経験で恐縮ですが,高校までの国語がなまじ得意な人は,大学で理系の文章を書くときに苦労することがあるように感じます.高校の現代文で問題に出るような文章は,わかりづらく書いてあるものです.(わかりやすいと読解力を問えないから.)そういう文章をたくさん読ませられれば,そういう難解な文章が格調高いような気がして,自分が作文するときも真似します.さらに,その真似した結果として,作文や読書感想文で良い点を取ってしまうと,成功体験となり,その後もそういう文章を書くようになります.ところが,理系の論文やレポートで書くべき文章は,わかりやすさが一番です.相手の読解力によらず正しく読んでもらえるように書く必要があります. 高校までの国語ではあまり教わらないような気がする,わかりやすい文章を書く技術,について, このサイトに感銘を受けました.科学技術文を書くときは8−10はあまり関係ないかもしれない.また,5も状況によるかもしれない.けれどもそのほかについては完全に同意します.

線形代数1(2017前期)

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表題の科目の成績です. 受講者数61名 S 9 名 A 24 名 B 14 名 C 8 名 F 5 名 欠席 1名 Fの方は,相当おまけしましたが,それでも60点に達しなかったものです.計算間違いの他に基本的な理解に問題があります.十分復習してください.また,3月に再試験となり,再試験に合格すれば来年度再履修の必要はありません.再試験の対象者は自ら申請しないと再試験を受けられません.案内があるはずですが,ご注意ください. Cの方はかなりオマケした結果,ようやく通っています.Fの方々と同様に復習が必要だと考えてください. B以上の方々は概ね問題ないと思います.単なる計算ミスで点数を落としている勿体無い答案もかなりありました.しかしその一方で,B以上の答案の中でも,基本的な事柄の理解が疑われるものがいくつかありました.例えば行列の計算を通常の文字式の計算と混同しているもの(行列Aを分母にもってくるような書き方や,行列なのに数字の1と足し算するような書き方).配点の都合上Sになっている人の回答にもそういうのがありました. 線形代数は後期に2もありますし,その後も種々の科目で使います.つまづきがないようにお願いします. 追記:欠席の方は病欠だったとのことで追試験を実施しましたが再度欠席されました.このかたは3月の再試験対象とはなりませんので来年再履修してください. 追記2:授業評価アンケートの結果がきました.増渕に対する受講生の評価も示します. いずれも,4から1の4段階評価で,4が良い評価です.()の中は,4から1を答えた受講生の数です. *担当教員の熱意や工夫を感じたか(35:14:2:0)スコア3.7 *意見等を伝えたり質問する機会はあったか(22:20:8:1)スコア3.2 *教材,教授法は適切だったか(24:25:2:0)スコア3.4 それぞれ全学教養科目の数学の平均は3.2,2.8,3.1,なので,合格点だと自画自賛します.

応用物性(2017前期)

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表題の講義の成績分布です. 全受講登録者数 56名 S 2 名 A 1 名 B 6 名 C 8 名 F 0 名 欠席 39 名 この講義は今期からの受け持ちで新しく立ち上げました.4年前期の選択ですから割合好きなことができますので,土井先生のSoftMatter Physicsの内容をやりました.とはいえ,当該の本でもっとも重要なOnsager’s Principleは教えておりません.平衡論をやるのがやっとでダイナミクスに到達できなかったためです. よって,内容はほとんど統計力学のソフトマターへの応用に終始したものでした.登録者が多いのに欠席が多いのは途中で興味なくなった方々でしょう.講義のやり方に工夫の余地があるのかもしれません.

Some requests for student positions

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I have received some e-mail messages from some students who have interests in the position of research student and/or graduate student in our group. From the communications with those students, I have been aware that some basic things should be shown in our website. This document is written for such purpose. For students who are […]

2016線形代数1の結果

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そういえば受講生に案内するのを忘れたのであまり意味がないポストかもしれませんが,今年度の線形代数1の期末試験の結果が出たのでポストします.成績としてはS, A, B, C, F, 欠,の順に, 5, 25, 22, 15, 13, 2名でした.欠の人は一度もレポート提出もないのでまあ受ける気がないのでしょうということで再試験の対象になっていません.またFの13名のうち,1名はあまりにもひどい成績で再試験の基準に満たないので再試験対象になっていません.ちなみに昨年の成績はS, A, B, C, F, 欠,の順に, 6, 33, 20, 12, 9, 1名でした.  今年は模擬試験もやったし過去問も配って解説しており,かつ定期試験は模擬試験より簡単にしてあったので,もっと成績がよいと思っていたのですが,平均点はむしろ昨年より低いという,残念な結果に終わりました.特に,不合格Fの人数も昨年より多いのが悲しい.不合格の人たちは計算ミスで惜しいとかそういうことでなく,明らかに理解できていない間違いをしている人たちです.再試験頑張って下さいとしか言いようがありません.過去問を適当に見るのではなく基本を見直してください.なおSの5名は満点です.大変結構だと思います. Fの人を見ると名簿で連続している人があったり,試験の答案も続いたりしています.これは日頃つるんでいる人たちがまとめて死んでいるように見えます.講義中もざわざわすることが多いクラスでしたので,あまりよろしくない傾向かもしれません.周りに流されずに頑張って下さい.なお昨年Fを出した人たちは大抵再試験で復活したようで,再履修の人数は多くありませんでした.来年度は工学部の改組があるので,増渕がこの講義を続けて担当するかどうかわかりません. 今回の線形代数はTAとして研究室のM1の学生さんにお世話になりました.ありがとうございます.

名大工学部改組されます

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現状以下しか案内できません. 工学部の上の方から指示があった定型文です. ”「学生定員等を含め、改組に関する詳細は、順次HP等で公開します。  http://www.engg.nagoya-u.ac.jp/ 又は  http://www.engg.nagoya-u.ac.jp/whatsnew/reorganize_dept.html   をご覧ください。」”

卒研を始める人むけ

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「こういう記事」をネットで見つけました. これまで研究をしたことがない,新規卒研配属生は,当然のことながら何をしたらよいか,まだよくわからない状態だと思います.そういう方には,以前にも紹介しましたが「このまとめ」を再度あげておきます.なかでも「これ」とか.反面教師的に書いてる「これ」にはならないでほしい. そして1年後には研究を楽しめるようになってほしいと思います. ウチの部屋の場合,始動から1週間して研究室の状態を増渕なりに見てみますと,やはりM1の3人は1年間のアドバンテージが大きい.元々のテーマを継続している2人はとても頼もしく,よい先輩となってくれています.研究も自分たちでどんどん進めていて,何の不安もありません.あたらしく外部から来たM1も,新テーマの立ち上げに奮闘しているところですが,研究室での生活や研究の進め方をよく理解していると思います.それぞれ1年で研究の進め方をマスターしています.

研究室選びについて

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応物では卒研配属の希望調査が行われる時期となったようです.これまで1月に研究室紹介があり,2月には修論審査会と卒論審査会がありました.配属を控えた3年生の皆さんはそれらの機会で情報収集したことでしょう. 研究室選びは重要です.大学院まで進むことや,その後研究者や技術者として世に出て行くための技術や知識を身につけることを考えると,一生の選択となるかもしれません.近年は学問領域の境目が曖昧になっており,学際領域と呼ばれる研究が増えています.増渕の研究も物理と化学の間,さらには基礎学問と工学的応用の間,くらいに位置するものでしょう.対象は化学で扱われることが多いソフトマターですが,手法は物理的です.また,レオロジーは基礎学問的側面もありながら,実学的な意義が非常に大きな学問分野です.このような状況だと,同じ専攻内にあっても身につく技術や知識は研究室によってかなり違うことになります. ではどうやって選べばよいのでしょう.以前,高分子物理化学の講義で配った質問票に,「どうやって研究室を決めるのか」という質問が寄せられていました.講義本体に関係する質問でないので,回答を後回しにしていました.というより,どう答えていいか,悩みます. 自分が学生だったとき,正直あまりちゃんと考えずに選んだのです.いろいろな意味で,たまたま運が良かった.現状で何かいうにしても,応物に戻ってから1年しか経っていないし(現状2年経ちましたが,そう変わらない),研究室もほとんど入れ替わってしまっています.こういう状況で他の部屋と比べてウチの部屋を選んでもらおうとして,どうこう言うのは,正直不遜で他の先生方に失礼かと思います. 名大応物に特化した研究室の選び方ではありませんが,web上で「こういうエントリー」がありましたので紹介します.たくさん調べることがあってたいへんだなあ,と思われるかもしれません.が,研究室は生活の場となります.修士まで3年とすると,3年間毎日やってきて,1日の大半の長い時間過ごすのです.情報をどれだけ集めても集めすぎということはありません.上記のエントリーにもあるように,就活だと思えば,大変さも想像されようと思います. 研究室を選ぶときの問題点の一つは,研究生活がどういうものか,わからない状態で選ぶことではないかと思います.3年生までの生活の感覚だと,「早く帰れますか」「どれくらいしんどいですか(楽ですか)」というような質問になるのは分かります.3年生までは講義の時間は決まっていて,仮に退屈な講義やしんどい講義であっても時間になれば終わります.しんどい演習も学生実験も,与えられた課題が終われば帰れます.けれど研究はだいぶ違うのです.研究には時間は無限にかかりますよ〜とか,難易度が高いですよ〜とか,そういうことではなくてですね.うまい例えが見つからないのですが.趣味に熱中していたら夜が明けていた,とか,掃除中にしつこい汚れを発見してガリガリ擦っていたら時間が経っていた,とか...そうすると,ハマるテーマとハマる環境が必要,ということかな.しかしハマるかどうかはやってみないと分からないし,最初はハマらなくてもある段階まで行ってからハマりだすこともあるし,逆に最初はハマったのに最後はあまり面白くないこともあるし.なにしろ学生実験とは違って,どうなるかわからないことをやるわけですから.やる前に面白さを判断してテーマで選ぶのはほとんど不可能ですね.ああ,どうやって選んだらよいのか余計わからなくなった. 研究を始めるとどういう生活になるかは,「このまとめ」を見ておくとよいように思います.全部が全部増渕にとって納得できる内容ではありませんが,それぞれの立場からの生の声が出ているように思います. なんにせよ,配属されたら(勉強ではなく)研究の醍醐味をぜひ楽しんでいただきたいと思います.研究ですから正解はない.何をするのも自由.問われるのは自らの課題に真摯に向き合うことと,やっていることや推論の論理性.失敗しても許される学生のうちに,研究の面白さを味わってから次の道に進んでほしいと思います.

小論文と論文

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応物では卒業論文を書く時期となっています.締め切りは来週の金曜日です.卒研生はみなさん頑張っているところです. 卒業論文を書くのは大変だと思います.論文を書くのが大半の卒研生にとって初めてだからです.特に,高校までで作文で褒められたとか,読書感想文で賞を取ったとか,入試の小論文は得意だった,という人にとっては苦労が大きいかもしれません.というのも,それらの国語で書いてきた文章と,学術論文はまったく別の作法で成り立つ文章だからです. 学術論文を初めて書く人にとって,増渕は個人的に,「小論文」なるものに対する経験が障害となっているように思います.入試や入社試験で課せられる小論文は字面では小さい論文ですが,論文とは違うものです.このように,テクニックとしての書き方が比較的確立されているため,大学入試のときなどに訓練されている人も多いでしょう.論文と似ている点もあります.たとえば作文ではない,という意味では論文と小論文は似ています.しかし,違いの方が大きいのです. 小論文と論文の最大の違いは議論のベースです.スタートラインと言ってもよいと思います.小論文では(上記のページにもあるように)自分自身の知識や引き出しがベースとなって論を組み上げていきます.試験のように他に資料がない状態で短時間で書くには,自分自身の頭の中から引き出すしかないですから,これはこれで良いでしょう.人とは違う特別な経験に基づいて論を進めると良い,とする見方もあるでしょう.一方,論文では自分自身の知識などはむしろ廃さなければなりません.これまでにきちんと確立された事実のみに基づいて論を進めなければなりません.自分だけの限られた特殊な経験や曖昧な聞きかじりで議論をスタートしてはいけないのです. 例を示して説明します.このような小論文の書き出しを考えます. 「地球温暖化による気候変動は私たちの生活に大きな影響を与えている.温暖化の進行を抑えるには二酸化炭素の排出を抑える技術の開発が必要である.そこで私は二酸化炭素を削減するため自動車の軽量化に着目した...」 よくある書き出しだと思います.新聞のコラムやエッセーにもありそうです.しかし上記の書き出しは学術論文としては問題があります.理由は3つあります.一つ目は,客観的な根拠が示されずに述べられている事柄が多すぎることです.二つ目は,著者の見解と他人の見解が区別されていないことです.三つ目は,従来の研究に対する紹介がなく自分の意見の位置が示されていないことです. 客観的な根拠を示すにはどうするか.これには参考文献を上げていきます.上記の例だと,「地球温暖化」が進んでいるという根拠を示す論文やデータの引用が必要です.さらに温暖化が「気候変動」を招いているとする根拠,「私たちの生活に大きな影響を与えている」とする根拠,「温暖化の進行」が「二酸化炭素」によるとする根拠...いちいち必要です.これらは新聞やテレビで喧伝されていますから社会的な共通認識になっているようですが,科学的に確立された事実ではありません.誰のどのような研究に基づいて議論を進めているかを明らかにするために,個々に根拠づけが必要なのです. 次に自分の意見と他者の意見を明確にするにはどうするか.これには上記の参考文献を上げていくこと,それに加えて主語を明確にすることです.上記の例文では例えば,「温暖化の...技術の開発が必要である.」という2番目の文章について,「必要である.」と言っているのは誰なのかを明確にすることです.参考文献を引用すれば誰の主張か示せますが,さらに文の頭に「XXXによれば」として人名をあげればより明確です. 最後に自分の意見の位置を示すにはどうするか.上記の例文の最後の文章が問題です.「そこで私は...着目した.」とあります.自動車の軽量化それ自体に着目している人はたくさんいるわけです.また,他にも二酸化炭素を削減する方策はあるわけです.これらの先行研究をきちんと紹介し,その中からどういう理由で自分の研究の立場を採用するのかを示さなければなりません.もちろん,ここには自分のアイディアに基づく選択がありますが,誰が何をやってきたのか,何がわかってきているのか,それを示さずに,自分の新しい思いつきであるかのように「自動車の軽量化」などと言ってはいけないのです.ポイントを絞って先行研究を紹介し,当該論文の立ち位置を明示することは論文の重要な成立要素です. 書き出しで問題設定をした後,本体の構成も違います.論文では「方法」「結果」「考察」と続きます.方法と結果は事実だけを示し,考察では自分の考えを示します.一方,小論文では,通常は科学的事実として示せる事柄はありませんから,「考察」しかありません.さきほど紹介したこのサイトにある小論文の第二段落を見ると,比較的納得できるような事柄が事実として具体的に書いてるように読めます.しかし事実としての根拠はありません.あくまでも著者の経験や伝聞に基づいて,著者の考えを示しているだけです.これは考察です. このように小論文は主観的な自分の頭の中を人に伝えるために書くものですが,学術論文は客観的な事実の積み上げを紹介するために書くものです.もし卒論に苦しんでいる人がいたとして,多少なりと参考となれば幸いです.