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論文査読を功績として扱おうとするシステム

こういうwebサイトから登録の案内をいただき,登録してみました.このサイトPublonsは,論文査読を功績にしましょうという試みを行っているようです.

Natureに関連する記事があります.我々が論文を書くとき,出版前にほとんど必ず他の研究者の査読を受けます.査読の結果,そのまま出版,軽微な手直しをして出版,大幅な改定後に再査読,却下,の4段階の裁定が下されます.最終的な裁定を下すのは編集者ですが,査読者の意見が大きく反映されます.査読者は1論文あたり通常2名ですが,もっと多くつく場合もあるし(最大4名付いたことがあります),1名だけのこともあります.査読の過程では,誰が査読者なのかは編集者以外はわからないようになっています.つまり著者は誰が査読してくれているか知らされません.(語り口や指摘するポイントなどで推測できる場合もあります.)査読者を選ぶのは雑誌の編集者で,当該論文の学術分野の研究者から選ばれます.最近は著者に何人か査読者を提案させる場合もあります.選ばれた査読者側は,査読を断る権利はあります.しかし相身互いというか,自分の論文も査読されているわけなので,正直断りづらいものがあります.特に編集者や著者が自分の知り合いである場合.査読は一切無償で実施されています.査読の頻度ですが,増渕の場合だと年に20回くらいやっています.(自分が年に10本くらい論文を出すので,それぞれ2人に査読してもらっているとして,10x2=20本くらいはお返しとしてやるべきである,と,ある人に言われました.このNatureの記事に出ている方は年に100本以上やっているようですが,他の仕事もあるのにそんなことが可能なのか?)

それで上記のサイトとの関係でいうとポイントは3つです.
1)査読は科学にとって不可欠である
2)査読は匿名で行う
3)査読は無償であり,何も報酬はない

査読はそれなりに大変です.査読するにはもちろん当該論文をきちんと読まないといけませんし,査読結果に対してはA4で1枚から数枚のレポートを書かないといけません(論文は英語ですからもちろんレポートも英語).これには結構時間が必要で,自分の専門に近い分野なら半日もあればできますが,ちょっとずれている場合は関連する論文を数本読む必要がでて来たりして,足掛け数日かかる場合もあります.また査読は期限が設けられており,2週間くらいでレポートを戻さなければなりません.査読を期日内に仕上げることは非常に重要です.論文は出版された日付が新しいほど価値が高いので,査読が遅いために出版が遅れると著者に取り返しがつかないダメージを与える場合があります.(増渕自身も,査読が遅くて競合する論文に出版の先を越されたことがあります.)だから,忙しくて日程が詰まっている場合は,査読依頼をちゃんと断ることも大切です.

で,当該のサイトは,このように労力がかかっている査読の実績を蓄積して,必要なときに取り出せるようにする仕組みをつくろうとしているようです.査読の匿名性などを担保しつつどのような仕組みを構築しようとしているか,興味あるところなのでしばらく付き合ってみようと思います.

2 thoughts on “論文査読を功績として扱おうとするシステム

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