少し前のことですがこのようなニュースがありました.氷の表面に水があるのは,気体状態にある水が氷の表面に析出するためだ,という発見です.
氷がなぜ滑りやすいのか(スケートやスキーはどうして滑るのか)は,水の薄い膜が氷の表面にあって潤滑剤の役割をはたすためです.実験的には氷の表面には(融点以下の温度でも)常に薄い水の膜があることが(以前の研究で)わかっています.
水の膜がどうして形成されるかについては,諸説あったのです.摩擦熱で氷が解けて水になる,というのはイメージし易いかもしれません.しかし,こすらないと水にならないはずなのに,何もしなくても水の膜は存在します.一方,圧力の効果というのもあります.これは水の相図(状態図)から出てくる議論です.このページを見るとよいでしょう.しかし単に氷に圧力を加えるだけでは氷の表面に水は出てこないので,説明不足です.
今回のニュースは,氷の上に展開される薄い水の膜ができる過程を観察した実験的研究に関するものです.気体状態の水が氷表面に析出する,言われてみればという気もしますが,だったらどうして水は氷にならないで表面に残るのか?という新たなナゾは残ります.
4年生の久世くんが取り組むテーマに現象としては似ていると思って取り上げました.