粘弾性流体中では精子は集まって泳ぐ?

BBCに「こういう記事」が出ていました.ボルチモアで行われているAPS(アメリカ物理学会)でのコーネル大学のグループからの発表だということです.

内容については映像を見れば明らかです.ニュートン流体中だと精子はちらばって泳ぐが,粘弾性流体中だと集まって泳ぐという結果.

本当に粘弾性が重要なんでしょうか.この研究では流体に粘弾性を持たせるために当該液体(たぶん水)に高分子(たぶんPEOとか)を添加しています.高分子が精子同士の(静的な)相互作用を変えているだけのようにも思いますが...

コロイド分散液体中に高分子を加えると,コロイド同士に親和力が働きますこっちに原著論文.大きな粒子と小さな粒子があるとします.大きな粒子同士がある一定の距離よりも近づくと,その隙間には小さな粒子は入れなくなります.小さな粒子の分布に制限がある状態はエントロピーが相対的に小さいので,そのエントロピーロスを避ける為,大きな粒子間には,中途半端な隙間を潰そうとする力が働きます.これは朝倉ー大沢理論とよばれる,名大理物におられた両先生が構築された有名な理論です.精子があつまる原因としてはまずこの効果が考えられるなあと思います.さらに流体力学的効果を考慮にいれた研究だと,大きな粒子が近づくほど粘度が下がるといっています.粘弾性は関係ないんじゃないか?逆に,粘弾性で説明できる理屈がわかりません.

土井先生のOnsager原理を使った解析ができるかもしれません.

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