研究室選びについて

応物では卒研配属の希望調査が行われる時期となったようです.これまで1月に研究室紹介があり,2月には修論審査会と卒論審査会がありました.配属を控えた3年生の皆さんはそれらの機会で情報収集したことでしょう.

研究室選びは重要です.大学院まで進むことや,その後研究者や技術者として世に出て行くための技術や知識を身につけることを考えると,一生の選択となるかもしれません.近年は学問領域の境目が曖昧になっており,学際領域と呼ばれる研究が増えています.増渕の研究も物理と化学の間,さらには基礎学問と工学的応用の間,くらいに位置するものでしょう.対象は化学で扱われることが多いソフトマターですが,手法は物理的です.また,レオロジーは基礎学問的側面もありながら,実学的な意義が非常に大きな学問分野です.このような状況だと,同じ専攻内にあっても身につく技術や知識は研究室によってかなり違うことになります.

ではどうやって選べばよいのでしょう.以前,高分子物理化学の講義で配った質問票に,「どうやって研究室を決めるのか」という質問が寄せられていました.講義本体に関係する質問でないので,回答を後回しにしていました.というより,どう答えていいか,悩みます.

自分が学生だったとき,正直あまりちゃんと考えずに選んだのです.いろいろな意味で,たまたま運が良かった.

名大応物に特化した研究室の選び方ではありませんが,web上で「こういうエントリー」がありましたので紹介します.たくさん調べることがあってたいへんだなあ,と思われるかもしれません.が,研究室は生活の場となります.修士まで3年とすると,3年間毎日やってきて,1日の大半の長い時間過ごすのです.情報をどれだけ集めても集めすぎということはありません.上記のエントリーにもあるように,就活だと思えば,大変さも想像されようと思います.

研究室を選ぶときの問題点の一つは,研究生活がどういうものか,わからない状態で選ぶことではないかと思います.3年生までの生活の感覚だと,「早く帰れますか」「どれくらいしんどいですか(楽ですか)」というような質問になるのは分かります.3年生までは講義の時間は決まっていて,仮に退屈な講義やしんどい講義であっても時間になれば終わります.しんどい演習も学生実験も,与えられた課題が終われば帰れます.けれど研究はだいぶ違うのです.研究には時間は無限にかかりますよ〜とか,難易度が高いですよ〜とか,そういうことではなくてですね.うまい例えが見つからないのですが.趣味に熱中していたら夜が明けていた,とか,掃除中にしつこい汚れを発見してガリガリ擦っていたら時間が経っていた,とか...そうすると,ハマるテーマとハマる環境が必要,ということかな.しかしハマるかどうかはやってみないと分からないし,最初はハマらなくてもある段階まで行ってからハマりだすこともあるし,逆に最初はハマったのに最後はあまり面白くないこともあるし.なにしろ学生実験とは違って,どうなるかわからないことをやるわけですから.やる前に面白さを判断してテーマで選ぶのはほとんど不可能ですね.ああ,どうやって選んだらよいのか余計わからなくなった.

なんにせよ,配属されたら(勉強ではなく)研究の醍醐味をぜひ楽しんでいただきたいと思います.研究ですから正解はない.何をするのも自由.問われるのは自らの課題に真摯に向き合うことと,やっていることや推論の論理性.失敗しても許される学生のうちに,研究の面白さを味わってから次の道に進んでほしいと思います.

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