PacifiChem2015@Hawaii

いつまでリンクが生きているかわかりませんが,以下の学会に参加してきました.
http://www.pacifichem.org/
この学会は数年に一度行われる,環太平洋諸国の化学関係者が一同に介する,超巨大な会議です.前回は2010年だったので5年ぶりです.

増渕はsimulations of polymersというセッションのオーガナイザーでした.どこの学会でもそうですが,学会全体のテーマ(今回は化学)だとあまりに分野が大きすぎます.そこでいくつか話題を限定したセッションを作り,興味を同じくする人たちであつまって議論します.今回の学会ではセッションとはいわず,シンポジアと呼んでいます.(しかしここを見るとわかりますが,シンポジアの数もまあ多すぎで全体像がさっぱりわからん.)このようなセッションを企画・運営するのがオーガナイザーの役目です.

今回の学会の場合は,たしか2年ほど前にまずセッションの募集がありました.最初は正直あまり関心がなかったので(関係者に怒られそうですが)放っておいたのですが,ある方面から「日本人からの応募が少なくて問題である」というハッパがかかりました.研究費の採択でも(多分ノーベル賞の選考でも)何でもそうだと思うのですが,応募の数が多いところからは採択も多くなるのです.分野でも国でも.そういうわけで,本命のセッションを活かすためには,捨てセッションの応募も必要なのです.増渕は捨てセッション前提で出しておいたら,豈図らんや,採用されてしまいました.もし本気で出していた方があって,不採択になっていたとしたら,非常に申し訳ない思いです.

さてセッションが採択されてしまうとオーガナイザーの仕事が始まります.

仕事内容は学会ごとに違いますが,今回の場合は,まずオーガナイザー側から必要な規模を学会に申請することから始まりました.どのくらい人数が集まりそうなのか,どのくらいの面積の会場が必要なのか,何日くらいやるのか,ポスターはいくつ集まるのか,そういった事柄を申請します.ここで申請しただけの講演数が集まらないと問題だし,逆に集まりすぎてパンクしたらもっと問題ですので,結構気を使います.

次の仕事は講演を集めることです.日本を中心に増渕の知り合いに案内を出して,投稿をお願いしました.増渕がちょっと頑張りすぎた結果,セッションの半数以上は日本人になってしまいました.なにしろもともとダメ元で応募したセッションであったため,増渕以外のオーガナイザーの先生方(環太平洋各国のうち,3カ国以上から選ぶのがルールです)は,セッションが不採択でも許して貰えそうな30代の若手の知り合いに頼んだのです.頼むときに「ダメ元」である旨を伝えていますので,そもそもやる気がない.何しろ,増渕含めて4名のオーガナイザーを設定したのに,ハワイまで来たのは増渕の他にはフロリダのShanbhag先生だけ.韓国とタイの先生は参加すらしないという...(お前らなあ...)

講演があつまったら,次にプログラム編成します.普通の学会では,それぞれの講演の時間は決まっているのが普通です(例えば1講演あたり質疑応答込で20分とか).今回はオーガナイザーの申請トータルの時間が決まっていますが,あつまった講演をその枠内にいくつ入れるかは自由.つまりたくさん集まりすぎたら,1講演10分とか5分もアリ,少なければ1講演1時間でもよし.増渕のセッションは1講演20分で枠にピッタリでした.別の学会だと,1講演の時間が決まっていて,枠が足りなければ口頭発表をポスターに回せと言われることもあります.これは辛い.せっかく出してくださった方々に「すいません,ポスターで」て言うのは.ヒトによっては機嫌を悪くして,だったら取り下げる,というケースもあります.

ここまでくれば後は当日を迎えるだけです.当日は朝8時から夕方5時までガッツリと講演が組まれています(というか組んだのは自分だけど).自分の仕事は司会進行と会場のお世話です.口頭発表においては,時間通り講演を進行させ,議論を調整し,レーザーポインターの電池が切れたらもらいに行き,部屋の照明を調整し...ポスター発表においては,ポスターの掲示板が足りないと文句をいいに行き,せっかく出してくれている学生さんたち(近大の荒井研から3人出てくれたし,慶応の泰岡研からも1名出てくれた)のポスターには他の参加者を連れて行きます.せっかく英語で準備したんだから外国人と話さないと面白くないだろうし.

議論そのものはそこそこ盛り上がったと思います.いくつか興味深い講演もありました.高分子のガラス転移温度をMDで決める手法とか,統計が取りにくい拡散定数を精度よく決める方法とか.最後は土井先生に特別講演でシメていただきました.

ところで,この学会は何もかも値段が高い!まず参加費が約10万円.この値段なのに食事は一切出ないし,飲み物すら満足に提供されないし,エクスカーションも当然ない.ハワイ国際会議場だけでは足りず,周辺のホテルの宴会場みたいなところもバンバン使っています.食事もレストランでちょっと食べたら4千円.コンビニのサンドイッチもヘタすれば千円.(ていうか,学会会場の中のカフェで売っている不味いサンドイッチと飲み物をあわせて千五百円もするのをなんとかしてほしい)さらに今回はこの学会のためにホテルの値段がひどいことになっており,例えば増渕のホテルは朝食もないのに1泊で3万円以上もするし.大学は規定の出張費というのがあるのですが,滞在費は大赤字.

まあこの時期のハワイはしょうがないらしい.ハワイの12月はハイシーズンなんだそうな.ホノルルマラソンが13日にあったらしくて,そのまま滞在している方々とかもあり.飛行機も平日にもかかわらず行き帰りとも満員.ハネムーンと思しきカップルと団体さんたちその他.

学会は20日まであるのですが,増渕は仕事が山積みなこともあり,17日朝の飛行機でさっさと撤退しました.日本人の先生方,たくさんおられました.名大の化学系の先生がたもたくさんお見かけしました.皆さんお疲れ様です.

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