東京モーターショーで高性能タイヤの発表

東京モーターショーにあわせて,こういうプレスリリースが出されました.住友ゴムが耐摩耗性を2倍に引き上げたタイヤを作ったという記事です.記事の一番下の方を見ていただくと,増渕が開発をお手伝いしたことが紹介されています.

増渕がお手伝いしたのはタイヤに使うゴム材料の破壊の様子をシミュレーションで解析することです.「分子レベルでシミュレーション」とあるところ.まず,いろいろな工夫を入れて破壊が発生する様子を計算できるようにしました.次に,様々なゴムの改良の可能性をシミュレーションで試しました.その結果,有望そうな改良法をものづくりに提案した,というあたり.計算にはスパコン京が使われました.ちなみに計算そのものやプログラミングは増渕がやったのではありません.方法を練っていく段階や様々な解析を行う段階で議論に加わって必要な助言等をしました.(研究室で学生さんと研究をするのに似ています.)

耐摩耗性が2倍になるということは,タイヤの寿命が2倍になるということです.そんなことしたら,タイヤの値段を倍にしないと商売にならないんじゃないですか?という素朴な質問を住友ゴムの方にしてみました.まず前提として,車が増えていることによってゴム資源が枯渇する恐れがあるそうです.また,ハイブリッド車や電気自動車,燃料電池車などはバッテリーのために車重が増加する傾向にあり,タイヤにとっては条件が過酷になっているそうです.耐摩耗性を向上することは,まずこれらの社会的課題の解決にとって重要であると.一方で,商売上はタイヤづくりに様々なオプションを持っていることが重要なのだそうです.つまり,耐摩耗性を向上する技術と他の技術を組み合わせてもちいることで多様なタイヤを市場に提供できることが重要なのだそうです.

ウチの部屋はNCCの所属でもあり,図らずも自動車への関わりが増えている状況です.一方,化粧品関係の共同研究もあります.例えばこの論文.車と化粧品,一見,遠そうな産業分野ですが,レオロジーは幅広く役に立ちますよ,ということも最後に宣伝.

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